【神羅ビル・研究室の廊下】







「物音が聞こえたのは、確か

こっちの方だったな…。」




廊下を走るチョッパー






「アイツは、会議に出てるから

入るなら、今のうちだ………。」












【宝条の研究室】







………!!!(チョッパー)



「やっぱり、あれは

人間か…??」



恐る恐る、勇気を出して

実験カプセルに近づく

チョッパー…





ふいに

少女と目が合う………。






「グリーン………?


お前………

変わった色の目をしてるな………。」





少女の、潤んだような、光を含んでいるような

不思議な色の瞳と見つめ合う。




チョッパーは少しだけ

自分が強くなったように思えた。









「お前………

捕まったのか…?」




少女は何も答えずに

少し微笑んでいる。




「そうか………。



おれの声が、聞こえないんだな………。」




「沢山の、人間や動物が、

ここで、酷いことをされて…。

死んだヤツも、いるらしいんだ………。」



「どんなに、叫んでも

泣いても………

助けを求めても………

誰にも聞こえない………


お前がいるのは

その中だもんな………。」




「そうだ!!!

おれが助けてやる!!!


どこかにスイッチが

あるはずだ!!!」



走ろうとするチョッパーを

引きとめ


身振り手振りで

楽しそうに

少女は、話しかけてきた。


少女の質問に

チョッパーも答えた




久しぶりに、誰かと触れ合う

楽しい時間だった。





チョッパーは悲しみを語る。




「でも………。


おれももうすぐ、ここへ入れられるのかもな…。」



「おれも、捕まって、ここへ連れてこられたんだ………。



おれには仲間がいて………

会いたいけど………

もう会えないかもしれない………。



くそっ!!!!!!」



「これじゃあ、みんなとの

約束を守れねェよ………!!!!!!」



「おれがもっと、強かったら…………。」




『意外に、てこずりましたねぇ。

たった50ベリーの珍獣に。』



『フフフ………

あなたの能力

研究に使わせてもらいますよ………。』




「おれは、悪魔の実の能力者で………

トナカイから、人間に変わるから

シンラに狙われたんだ………。」



「でも、おれは、医者だから

薬を作ることを条件に

ここまで、生き延びてこれたんだ………。」



「卑怯だよな………。



でもおれ………


守りたい、約束があるから………………。」







「おれの作った薬は、誰かを助けているかな………



そうだといいな………………。」






少女のやさしい微笑みは

だいじょうぶだよ。と

答えてくれたように思えた………。





「お前………。



おれを、わかってくれるのか………?」






………………………。(チョッパー)


涙を拭くチョッパー。





「そうだよな。


おれは医者だ!!!

命を守るのが

医者の役目だ!!!」



「おれは今まで

ルフィの何を見て来たんだ………!!!!!!



おれは、お前を助ける………!!!!!!」




大きな姿になり、実験カプセルを抱えようとした

チョッパーを引き止めるように

少女は立ち上がり

とても嬉しそうに

ガラスに文字をつづる………



L エル



U ユー



F エフ



F エフ



Y ワイ…






「LUFFY って…


ルフィか??!!!



お前、ルフィを知ってるのか??!!」



元の姿に戻る、チョッパー。




少女は、うれしそうに微笑み

ここに来てるよ

あなたを助けに来てくれるよ

と懸命に伝えた………。



「ルフィが、おれを………

助けに………………」



「ルフィが………。



そうか………



ありがとうな!!!お前!!!」




うん。


よかったね、

少女の口元は、そう伝える。




「お前も一緒に、逃げよう!!!」




少女は、首を振る


わたしは、行けない。と………。





待ってるから………。









「誰かを、待ってるのか…?」



さぁ?と少女は、首をかしげて

くすくす笑った。








「お前………………。





嘘なんだろ………。」






「ここで、騒ぎになったら


おれが、殺されるからか………?」






少女は、身振り手振りで

答える。



ううん。




わたしは、強いから………


だいじょうぶよ!





こんな時に冗談か!とチョッパーは思う。



「ウソつけーっ!!!

どうやっても、そんなふうに見えるかーっ!!!」(怒)



くすくす…。


少女は笑う。



チョッパーも微笑む。




「お前……。」




その時、エレベーターが到着した音が聞こえ

チョッパーは、その場を去るしかなかった…。



「おれが絶対、助けてやるからな!!!

待ってるんだぞ!!!」



チョッパーは、研究室を出る。




「今は無理だ………。


今のおれには、まだ力が無い………。」



「ルフィと一緒に、逃げ出せたら

あの娘も、絶対に助けよう………。」



「ルフィも、あの娘を

知ってるはずだよな………きっと。」




「くそぉっ!!!!!!」




一人で廊下を走りながら

チョッパーは、悔しさで一杯だった。








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